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こうして乙武は、自らの剣を抜く覚悟を決めたのだ。それは英梨のためでもあった。いや、それは英梨のことを愛しはじめてしまっていた、乙武自身のためであったのかもしれない。俺の女を悲しませたやつがどういう目に合うか、思い知らせる時だ。乙武の中に、無慈悲で残酷な攻撃性のようなものが沸き上がってきた。今まで研ぎ澄ませてきた剣をここで使わなかったら、いったいいつ使えというのだ。そしてとうとう、乙武は60万人のフォロワーに向かって店名をTweetしたのだ。
実際に、60万人のフォロワーを有する乙武にとって、この店を潰すことは簡単なことだった。そして、この店主は、自分がどういう相手にケンカを売っているのか全く理解していなかったようだ。ビジネスというのは、ある意味では殺し合いだ。強いものが弱いものを食っていく。弱肉強食の世界では、間抜けはすぐに死んでいくものだ。サバンナでは、上手く走れないシマウマが、たちまちライオンなどの猛獣の餌食になるように。殺し合いで生き残ったオスだけがメスを獲得していくのが野生のルール。
結局、この店主は、すぐに自らのブログで命乞いすることになった。ライオンに足を折られてしまい、もはや逃げることは不可能になってしまったトムソンガゼルの子どものように。英梨を泣かせた代償、そして乙武を怒らせた代償はあまりにも大きかったのだ。ここで乙武は最後の一撃を加えて、この店主を殺すことはできた。最初のTweetは英梨を泣かせ分だった。そして、次のブログは、自分を侮辱した分だ。
しかし、ここで乙武は、命乞いする店主を殺さなかった。むしろ、優しさを店主に差し出したのだ。本当に強いものだけが見せることができる優しさだ。
「店主がお許しくださるのなら、いつの日か再訪してみたいな。だって、お店の料理、本当においしそうだったから」
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金融日記 - 乙武洋匡イタリアン入店拒否事件―もうひとつのサイド・ストーリー (via tamejirou)
(petapetaから)